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今流行りのタクシーに設置されたデジタルサイネージによる広告。「タクシーサイネージ」とも呼ばれているのをご存知でしょうか。
一昔前は想像できなかったコンテンツですが、現在は非常に注目されており、実際に得られる効果も高いといわれています。普段タクシーを利用する人ならば、乗車中に目に入り、印象に残っている広告や企業を覚えているという方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなタクシー広告について、なぜ流行っているのか、どんなメリットがあるのか、その相場など、人気の秘密を紐解いていきたいと思います。
1.タクシー広告とメリット
そもそもタクシー広告とは、タクシーの車内に配置したり、車体に貼り付ける広告のことを指しています。ここでは、タクシー広告にどんなメリットがあるのか解説していきます。
メリット①注目を集めやすい
タクシーの平均乗車時間は18分前後といわれています。乗客は比較的長い時間を着席したまま車内で過ごすことになるので、じっくり広告を見てもらえる可能性が高くなります。実際にタクシーを利用した時、なんとなく広告をずっと眺めて過ごしていた、という方も多いかと思います。
また、車外に取り付けるタイプのステッカー広告などは、歩行者など不特定多数に見てもらいやすく、インパクトがあればあるほど印象に残りやすくなります。また、電車やバスなど公共交通機関と違い、毎日走行する道や地域が異なるので、より多くの人の目に入りやすいというメリットもあります。
メリット②富裕層・ビジネスマンにアプローチが可能
タクシーは、電車やバスなど公共交通機関と比べて乗車料金が高いため、利用者は比較的富裕層や経営者、シニア層が多いというデータがあります。また、サラリーマンも利用することが多いため、不特定多数に対して放映するテレビCMなどに比べると、アプローチしたい層がタクシー利用者層と一致していれば、より高い効果を期待できます。
2.タクシー広告の種類と相場
ここからは、タクシー広告の種類とその相場を細かく見ていきましょう。タクシー広告を出したいと考えている企業の方は、参考までに予算と相場、広告ごとの特徴を見比べてみてください。
・デジタルサイネージ広告(タクシーサイネージ)
最近特に注目されているコンテンツで、助手席の後ろに設置されているタブレットによって、主に動画を配信する広告です。今ではタクシー広告と聞くと、まず頭に浮かぶのがこの「タクシーサイネージ」であるといえるでしょう。実際に、ここ数年でタブレットを設置するタクシー会社が急増していることからも、需要の高さがうかがえます。
設置費用の相場は月額2.5〜5万円/1台となっています。
なお、サイネージの中に「車窓サイネージ」というものもあります。その名の通り、後方のサイドガラスに広告を映し出すもの。珍しさからメディアで取り上げられることもあるなど話題性に優れ、高い訴求力も見込めますが、車内のサイネージよりも大幅に設置する費用がかかるというデメリットもあります。
・ステッカー広告
タクシーの窓やドアに貼る広告のことを指します。乗客が外を見る時に見えたり、歩行者からも見えるので、目に入りやすい広告の一つといえるでしょう。
ちなみに、後ろの窓に貼る公告のことは、「リアステッカー(リアウィンドウステッカー)広告」と呼びます。こちらは、後続車からも見えやすいというメリットがあります。
設置費用の相場はステッカー広告で月額1,000円〜/1台、リアステッカーで月額3,500円〜/1台となっています。
・アドケース
アドケースとは、ポケットティッシュやパンフレットを車内に設置し、自由に持ち帰ることのできる広告のことを指します。割引券やクーポンなど、興味を引きやすいものを置くケースもあります。その広告などに関心を持った乗客が自由に持ち帰ることになるので、効果は高い上に、パンフレットの在庫状況でどれくらいの効果が出ているか、分析しやすいという点もあります。
設置費用の相場は月額2,200円〜/1台となっています。
・ヘッドレストポスター
助手席の背もたれ部分に設置された広告のことを指します。一般的に乗客は助手席の後ろの席に座るので、目に入りやすい広告であるといえます。
設置費用の相場は月額1,800円〜/1台となっています。
・ボディステッカー
こちらは車内ではなく、車体のドア部分を利用した広告です。ステッカーを貼る箇所は決められており、後方のドア部分となっています。窓に貼り付けるタイプのステッカー広告に比べ、面積が大きくなるため、注目を集めやすいという利点もあります。
設置費用の相場は月額5,000円〜1万円/1台となっています。
・ラッピング
こちらも車体のドア部分を利用した広告ですが、ボディステッカーとの違いは、ドア4枚全てを使った広告であること。4枚のドアを使えるので面積はさらに広くなります。電車やバスなど公共交通機関の広告に比べ、繁華街から住宅街まで24時間365日走るタクシーだからこそ、高い訴求力を誇っています。
設置費用の相場は月額3.5万円〜/1台となっています。
3.デジタルサイネージ広告が高い効果を得られる理由
多岐に渡る種類のタクシー広告と特徴、相場を紹介しましたが、その中でも特にデジタルサイネージ(タクシーサイネージ)広告が今、話題になっています。その理由を紐解いていきましょう。
①繰り返し訴求ができる
一般的に広告は、3回以上見ないと印象に残らない、といわれることもあり、どうしても日常の中でふと見た程度では印象に残りにくいものです。しかし、タクシーは月に何度も利用する方が比較的多く、30秒から1分の動画がサイネージに繰り返し放映されることで、刷り込み効果が期待できます。
②地域・時間に合わせた広告を出せる
タクシーは地域に根ざした交通手段です。タクシー会社によって稼働している地域が決められているため、地域を絞って広告を映し出すことで、その地域のビジネスに特化した訴求ができることもメリットの一つです。例えば、観光客が多く利用する地域では、その地域周辺の観光情報を表示すると注目度は高くなります。
また、平日日中であればビジネス利用者が多く、夜間〜深夜帯であれば飲み会帰りの利用者が多くなるなど、時間によってタクシー利用者の層は変化しますが、時間ごとに表示させる広告の種類を変えられるため、よりターゲットを絞った広告を出すことが可能になります。
③より高い注目度が期待できる
冒頭のメリットでも触れましたが、タクシーは閉鎖された空間であり、平均乗車時間が18分と比較的長い時間を移動に使います。その閉鎖的な空間の中で、目の前に動画広告を流すことができるため、注目を集めやすく、高い効果を期待できます。
また、タクシーサイネージの大きなメリットともいえる部分は、気になった商品や企業の広告が流れている際に、画面をタップしてその企業の詳細ページに移動できる、という点にもあります。
さらに、最近はタクシーサイネージ広告に芸能人を起用しているものを多く見かけます。タクシアプリ「GO」に出演する竹野内豊さん、Sky株式会社には藤原竜也さん、株式会社ビットキーのCMには今田美桜さん、株式会社フロムスクラッチ「b→dash」はおぎやはぎさん、霜降り明星さんといった芸人を起用。
このように、知名度や人気のある芸能人を起用することで、より乗客の注目を集めやすく、広告としての効果が高くなります。
4.効果的な広告を作るためには
実際にタクシー広告を制作し、広告を成功に導くために、以下のポイントを押さえておくことをおすすめします。
①ターゲット・エリアが一致しているか
タクシー利用者は、ビジネスマンや経営者、富裕層、そしてシニア層がメインとなっているため、例えば若者向けの商品を認知させたい場合などは、ターゲットにしたい層と利用者層にズレが生じてしまうことになります。
タクシー広告は、特にBtoBサービスに相性が良いとされています。利用者に刺さるキーワードは「スピード・時短」「効率化」「ハイグレード」などであると考えられます。自社が推したいサービスや商品と、利用者層が一致しているか、今一度見極めてみましょう。
また、タクシーは会社によって走行エリアを定められているため、どのエリアに住んでいる人に訴求したいのかを念頭に置いて広告制作を進める必要があります。
②クリエイティブに工夫を凝らす
タクシーは月に何度も利用する方が多い交通手段です。1本あたり30秒〜60秒の動画で、同じような内容がずっと流れていると飽きられやすいという懸念もあります。そこで、ストーリー性を持たせたり、シリーズ化することで興味を引くことも重要なポイントといえます。前述した通り、芸能人が起用されているタクシーサイネージは多く存在します。より注目を集めるために、芸能人を起用することを検討しても良いでしょう。
また、タクシーサイネージで流れる広告は、基本的に音が小さいことが多いため、例えば音声が聞こえなくても見ている人に伝わるような内容にすると、より高い効果が得られます。
5.まとめ
今話題になっているタクシーサイネージ広告。
2021年12月に株式会社CARTA HOLDINGSが発表した、タクシーサイネージ広告市場規模の推計(https://cartaholdings.co.jp/news/20211209_01/)によると、2021年は40億円でしたが、2025年には60億円にも増加しているというデータが出ています。タクシーサイネージ広告は更なる市場の成長が見込まれており、今後も注目したいコンテンツの一つとなっています。
効果的なタクシーサイネージ広告を制作し、より高い効果を実感してみてください。