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投稿者:kie

【芸能人が独立する背景とは】事務所をやめるメリット・デメリット

(この記事は約 8 分で読めます。)

日々、目まぐるしい変化を遂げている芸能界。

昔と今では常識までもが変化しているということも多くあるようです。

特に最近は、芸能人やYouTuberが所属・契約している事務所を退所し、独立して個人事務所を立ち上げるというニュースが多く見られるようになってきています。以前も芸能人やYouTuberが独立することはありましたが、今とはその数が圧倒的に違い、大幅に増えてきているという状況のようです。

今回は、芸能人やYouTuberが事務所を辞めるメリットやデメリット、そして近年、事務所を退所する芸能人が増えている背景などについて考えたいと思います。

1.芸能事務所の立ち位置と役割

芸能事務所、と一口に言ってもその数は膨大で、大規模な超大手芸能事務所から、少数精鋭の小さな事務所まで、その大きさも多岐に渡っています。では芸能事務所の主な役割はどんなことか、実際にどんな芸能事務所があるのでしょうか。

① 芸能事務所の役割

芸能事務所はプロダクションとも呼ばれているように、タレントを発掘・育成し、マネジメントを行う会社のことをいいます。具体な業務内容は、所属・契約している芸能人のプロフィール作成から始まり、スケジュール管理、各媒体への売り込み、出演料の交渉などを行っています。いわゆる「マネージャー」がしている仕事のイメージが多いかと思います。

さらに事務的要素として、経理など行う管理部門に加え、グッズの販売やファンクラブ運営という業務を行なっている部署もあるようです。

また、芸能業界は些細なことからトラブルに発展し、ストレスを多く抱える業界であるともいわれていますが、そういったトラブルが起きた際にケアしてくれる役割も担っています。

芸能事務所に所属することで、タレントたちは本業以外の部分を全面的にバックアップしてくれたり、仕事を繋げてもらえたりといった大きなメリットがあります。

② 業界を代表する大手芸能事務所とは

芸能事務所は大規模から小規模なものまで星の数ほどありますが、誰もが名前を知っているような大手事務所というのも多数存在します。

例として、バーニングプロダクションやアミューズ、ジャニーズ事務所、吉本興業、ホリプロ、オスカープロモーション、エイベックス、スターダストプロモーションなど…挙げ出したらキリがないほど。

そんな超大手といわれる芸能事務所の中でも、それぞれに得意分野が異なっています。例えば、吉本興業や松竹芸能はお笑いに力を入れており、養成所や劇場を持つことでより多くのお笑い芸人を世間に輩出することが可能になっています。その他にも俳優が多く在籍している芸能事務所や音楽業界に強い芸能事務所など、事務所の規模だけでなく、得意分野による違いもあります。

2.芸能人が事務所を辞めるメリットとデメリット

現在も芸能人は事務所に所属・契約してバックアップをしてもらい、活動を行うというのが一般的ですが、最近はその傾向に少し動きがあるようです。

それは、所属事務所を退所し、独立して個人事務所を立ち上げる芸能人が増加傾向にあるということ。2020年以降でも、米倉涼子さんや柴咲コウさん、オリエンタルラジオさん、佐藤健さん、神木隆之介さん、竹野内豊さん、堺雅人さんなど、様々な芸能人が事務所を退所し、個人事務所の立ち上げが発表されました。また、中居正広さんや手越祐也さんなどジャニーズのタレントも多数事務所を退所しました。

では、実際に芸能人が事務所を辞めることには、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

① 事務所を辞めるメリット

■収入増・節税など金銭面

個人事務所を立ち上げるメリットとして、金銭面が大きく影響している場合も多いようです。一般的に事務所に所属・契約している芸能人は、事務所とマネジメント契約を締結しています。テレビやラジオ、イベントなど仕事によるギャラは一度事務所へ入り、固定報酬制か歩合制どちらかで、事務所から芸能人本人に支払われる形になっています。以前、吉本興業の芸人さんが、テレビ番組で「事務所と芸人のギャラは9:1」と面白おかしくネタにしていたのを見たことがありますが、一般に業界の手数料率はおよそ40%60%といわれているようです。

しかし、独立後は事務所に支払う手数料がなくなり、自分自身の取り分が増えることになります。単純に収入が増えるから独立したい、と考える芸能人も少なくないのかもしれません。

また、個人事業主として芸能事務所と業務委託契約を結ぶ形を取っている芸能人にとっては、独立して個人事務所を立ち上げた方が節税できるそうです。

一般に、個人事業主として活動する場合は、収入に比例して最大45%の所得税がかかってしまうのに対し、個人事務所にかかるのは法人税になるので、最大でも約23%まで下がるといわれています。さらに、仕事のために使用する携帯の費用や通信費、移動にかかるお金なども経費で精算することが可能になるため、節税に繋がるというのも、個人事務所を立ち上げるメリットの1つになっているようです。

■決定権が自分にある

事務所に所属していると、その事務所の方針やイメージに従って仕事を受けなければならない、という場面もしばしばあるといわれてます。しかし、自分で自分の事務所を立ち上げた場合は、自分自身で納得のいく仕事内容を選び、ギャラや細かい条件なども自分の意思で決めることができます。

セルフプロデュースに自信のある芸能人であれば、自分の思うようにタレントイメージを作り上げることもできるので、大きなメリットともいえるでしょう。

② 事務所を辞めるデメリット

■全て自分の責任になる

当たり前といえば当たり前かもしれませんが、仕事を自由に選べるメリットがある一方で、スケジュールの調整からギャラの交渉など、今まで事務所に任せていた部分の多くを、自分でこなさないといけなくなってしまいます。

本業以外の部分に時間と労力を取られてしまう上に、トラブルが起きた際の対応も行わなければなりません。大手といわれる事務所はスキャンダルやトラブル発生時もフローが整っているので、迅速に対応し、会見を開くなどの手配も進められますが、そういったストレスのかかる部分も自分で行う必要性が出てきてしまいます。

信頼できるスタッフを雇うことができれば良いですが、金銭トラブルになってしまったりなど、なかなかうまくいかないのが現実ともいわれているようです。

実際に、オスカープロモーションを退所して独立した米倉涼子さんは、2021年に出演したあるテレビ番組で「独立はやめたほうがいい」と発言していました。

■重大な損害に繋がる恐れがある

事務所に所属していると担ってくれる経理などの事務的な部分は、正直自分でやるのは面倒くさくなってしまいがちですが、怠ると大変な損害に繋がる恐れがあります。

実例として、チュートリアルの徳井義実さんは2019年に税金の無申告を国税局から指摘され、申告漏れしていた約1億円と、追徴課税約3,000万円を支払うことになってしまったというニュースは記憶に新しい方も多いかと思います。

過去には、板東英二さんなどその他の有名人も脱税で指摘を受けたことがあるなど、個人事務所になったことによるずさんな管理のせいで、多大な損害を被る場合があるようです。

3.芸能人が事務所を退所する背景

芸能人が事務所を退所するにあたって、メリットもあればデメリットもあることがわかりましたが、では、少なからずデメリットもある中で、なぜ近年は事務所を退所する芸能人が増え続けているのでしょうか。その背景を探ると、大きく分けて3つの理由があるようです。

① トップの世代交代

長年、芸能界を牽引してきた芸能事務所の社長などトップに当たる人物の、世代交代が1つ目の大きな理由のようです。影響力の大きい社長が代わるとなると、どうしても事務所全体の経営方針が変わることがあり、結果として方針が合わずに事務所を退所する所属タレントが出てきてしまうということもあります。

代表的な例として、2019年にジャニーズ事務所のトップであり創業者でもあったジャニー喜多川さんが亡くなられたことにより、ジャニーズ事務所はトップの交代を余儀なくされました。その後、中居正広さんや山下智久さん、長瀬智也さんなど長年第一線で活躍してきた方々がジャニーズ事務所を退所し、最近ではKing & Princeのメンバーのうち3人が退所するというニュースが世間を大きく騒がせたのも記憶に新しいかと思います。

他にも、オスカープロモーションも世代交代などによって経営方針に変化が起き、米倉涼子さんなど退所するタレントが増えた上に、事務所を支える社員までもが大量に退社したというニュースも報じられました。

② 情報を発信する媒体の増加

一昔前は、テレビやラジオ、イベントなどが芸能人の主戦場であり、事務所を退所すると露出が減ることが多くありました。

しかし、近年はYouTubeInstagramなどSNSが急速に普及し、テレビだけではなく、自分自身を発信できる媒体が増えたというのも大きな理由の1つになっているようです。

媒体は様々ですが、芸能人はそれぞれ自分に合った方法で等身大の自分自身を発信してSNSからファンをつけることもでき、収益をあげることができるようになったこの時代だからこそ、芸能人が事務所だけに縛られずに自由に活動の拠点を選択できるようになったのかもしれません。

③ 独占禁止法の影響

以前は「事務所を辞めると業界で干される」という噂も業界ではまことしやかに囁かれていたそうですが、2019年に公正取引委員会によって大手芸能事務所などに対し、独占禁止法違反につながる恐れがあるということで、「注意」が示されました。

あくまで「注意」ということで、調査をして違反行為があったという証拠が出たというわけではありませんが、こういった圧力を未然に防止するために「注意」がなされたということになります。

このことが直接の要因になったかどうかは定かではありませんが、事務所を辞めて独立したいと考えていた芸能人の背中を押す形になったのではないでしょうか。

4.まとめ

芸能人が事務所を退所し、独立するという流れが多く聴かれるようになった背景や、メリット・デメリットなどについて改めてまとめてみました。

メディアとしての媒体が増え、時代が変化している影響もあり、芸能人が選ぶ道も以前よりは多岐に渡っているのかもしれません。

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投稿者:kie

コラムニスト/気象予報士。気象情報他多種多ジャンルの情報発信を扱うことを得意とし、新聞コラムはじめ多くのメディア執筆に携わる。トレンドや時事ネタを捉えた視点から情報発信を行う。

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